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広島中央矯正歯科は、広島市中区八丁堀にある矯正歯科治療専門の診療所です。

TEL. 082-502-6803

〒730-0013 広島県広島市中区八丁堀11−10KSビル5F

広島中央矯正歯科

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顎変形症(外科的矯正治療)概説 > 術前矯正治療の短縮や省略

術前矯正治療の短縮や省略


顎変形症概説
 ・入院期間と費用
 ・術前矯正治療の短縮や省略
  ・術前矯正治療を短縮・省略した矯正治療例
 ・顎変形症の矯正治療例一覧


術前矯正治療とは?
受け口や顎のずれを改善するための手術(顎矯正手術)までに、上下顎それぞれの歯並びを整えていく治療を術前矯正治療と云います。
この治療の大きな目的の一つは、手術によって移動した後の上下顎の噛み合わせが安定したものとするためです。術後の噛み合わせが不安定だと、計算どおりに顎骨を位置づけることが難しくなる可能性が高くなるのです。つまり、折角、手術までしても、うまく治らなかったら意味がありません。そのために、通常は、術前矯正治療を行った後に、顎矯正手術を施行します。


しかし、現在の噛み合わせが骨格に問題があるためだとしても、上下顎のそれぞれの歯並びがある程度整っていれば、術前矯正治療の期間を大幅に短縮したり、術前矯正治療そのものを省略して(この場合も手術前に装置を装着する必要があります)、顎矯正手術を施行することは可能だと考えています。
  
実際に、主たる提携医療機関である宮本形成外科の宮本義洋院長と、
既に平成6年から、
仕事、家事、学業などの理由から出来るだけ早急に手術を希望される患者さんに対して、このような治療を行ってきました。
これまでの顎矯正手術の術前矯正治療の到達度の内訳は次の通りです。
 術前矯正治療を完全に行ったものが1/4
 術前矯正治療を途中まで行ったものが1/2
 術前矯正治療を省略したものが1/4 
治療結果については、通常の術前矯正治療を行った症例と差は認められません。
(2005年の日本形成外科学会、日本顎変形症学会、日本矯正歯科学会などで口演&論文発表してきました)

術前矯正治療を短縮・省略した顎変形症の矯正治療例一覧
早急に手術を希望される患者さんに対する術前矯正治療を短縮・省略する治療手順の導入の経緯
…『宮本形成外科25周年記念誌(2016年発行)』に、私が編集委員長として記載したものです

1994年(平成6年)5月に、私も(以前の)矯正歯科診療所を開業しましたが、この年の11月に、まだ患者さんは少なくて暇だろうからと、一人の患者さんを紹介していただきました。
その患者さんは骨格性下顎前突症で、とにかく早く顔貌を改善するために下顎骨後退術を受けたいとの希望でした。私の診療所の初診日から、2週後(の12月1日)には、宮本形成外科での、術前矯正治療なしで(しかも矯正装置を装着せずに)、手術が決まっていました。
そこで、下顎前突顔貌(受け口の顔つき)を改善するために必要な下顎骨の後退量をしっかり考えて欲しいとの宮本先生からの依頼でした。
ちなみに、この当時は、術前矯正治療を必ず行ってから顎矯正手術を施行するという治療手順が金科玉条のような時代でした。
そこで、最終的な咬合の予測模型を作って、そこから後退量を逆算することにしました。
その結果、手術後には、下顎前歯は一時的に過度に後退し過ぎたかのように見えるようになりましたが、最終的には、手術前の計画通りの望ましい顔貌と咬合を獲得することが出来ました。
この患者さんは、宮本先生と組んで顎変形症治療を行なった第1例目だったのですが、大胆にも術前矯正治療を省くという治療手順を踏んだ初めての症例でもあったのです。
この症例を皮切りに、顎変形症治療に一緒に取り組むと同時に、学会発表も前向きに行うことになりました。
この手術を行なった 1994年(平成6年)12月の第2回日本顎変形症学会総会のプログラムを読み返しますと、治療期間を短縮するためには、Single Tooth Dento-osseous Osteotomy、ストレートワイヤーテクニック、Le Fort T型骨切りに正中分割を加える、Kole によるCorticotomyなどを行うという発表があった程度で、本当の意味で術前矯正治療期間を劇的に短縮しようというアイデアではありませんでした。
そこで、我々は、1996年(平成8年)2月の第31回日本形成外科学会・中国四国支部
学術集会(小郡)において、“骨性下顎前突症に対して術前歯科矯正を省いてまず外科矯正(矢状分割法)を行った経験”という発表を行ないました。これ以降も、日本顎変形症学会、日本矯正歯科学会などで発表を重ねました。
しかし、いずれの学会においても、術前矯正治療を行なってから顎矯正手術を施行するという治療手順を確立することによって安定した治療結果が得られるようになって来たというのに、それをまた術前矯正治療を省略するというのは、歯科矯正治療抜きで顎矯正手術のみを行なっていた前時代的な治療に逆戻りするものだという批判ばかりで、まったく受け容れられませんでした。
ところが、最近では、骨片の固定法や矯正治療の固定源の進歩と併せた形での治療法を“サージェリー・ファースト(Surgery first)”というネーミングとともに、広く流布するようになってきました。
今にして思いますと、我々が世に問うた時期が少々早過ぎた感がしています。⇒ そんな経緯もあって、私は、”サージェリー・ファースト”という言葉を用いておりません。
      


費用と治療の進め方について
顎口腔機能診断施設基準に適合している診療機関(当院も基準に適合)では、術前ならびに術後矯正治療に保険が適用され、総額では約20〜30万円程度です。
また、顎矯正手術にも保険が適用されます。
(診察の手順、手術、費用、入院期間など詳細は顎矯正手術を施行する医療機関でお尋ねください)
念のために、説明を追加しますが、保険が適用されるのは、 確実に顎矯正手術をされる(厳密には手術をされた)患者さんのみが該当します。
相談、検査や診断までだとか、 術前矯正治療の途中で止める場合には、保険は適用されません。このような場合は、すべて私費診療です。

なお、矯正治療を保険で行う場合には、保険診療で許されている器具・材料や治療法を使用しなければなりません。
したがって、歯の裏側からの装置を用いた治療などや、薬事承認が得られていない材料を用いた治療は保険では行うことが出来ません。

保険で術前・術後矯正治療を行う場合には、
矯正治療の各段階(矯正開始、動的治療開始、マルチブラケット装置開始、顎切り前、保定)で顎口腔機能診断料を算定します。
これらの顎口腔機能診断料は前回の診断から6ヶ月経過していなければ算定出来ません。
なお、矯正開始の診断は動的治療開始またはマルチブラケット装置開始と一致することが多いと思われます。

当然、保険診療で許されている以外の器具・材料や治療法を希望される場合は私費診療(自由診療)となります。
また、その場合には、形成外科などで行う顎矯正手術も私費となります。
*すべての治療を私費で希望されることは問題がありません。
     
保険診療では通常の治療手順どおりの進め方で術前矯正治療を行います。そして、治療開始の診断から6か月を経過しなければ、術前矯正治療が完了していても、骨切り前(顎矯正手術前)の診断は出来ません。顎矯正手術後も同様に、術後矯正治療が完了していても、骨切り前の診断から6か月経過しなければ、治療を終了して保定の診断をすることは出来ません。

初診・矯正相談の際には、上記のように、治療の進め方についての説明がたくさんありますし、患者さんのすべての希望に応えきれない場合もあることをご理解ください。

なお、顎変形症の治療に伴う主たる偶発症・合併症としては、
出血、知覚異常、後戻り、顎関節症、Progressive Condylar Resorption、
心理的不適応、閉塞型睡眠呼吸障害などが挙げられています。
そのため、治療開始前に起こりうる偶発症・合併症に関する十分な説明を行って、インフォームドコンセントを得た上で治療を開始すべきであるとされています。
 …日本口腔外科学会による顎変形症診療ガイドライン(2008年)


顎変形症(外科的矯正治療)に関する研究発表
 術前矯正治療の短縮や省略に関する研究発表
 入院期間短縮に関する研究発表


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